神社やお寺に参拝されるとき、賽銭箱にお賽銭を投げ入れますよね。
小銭やお札など神仏とご縁があるようにと願掛けをされると思います。
この賽銭箱ですが、神社に設置されていない時代があったことをご存じでしょうか?
氏神(うじがみ)様
日本の集落には氏神様というそれぞれの地域の神様がいらっしゃいます。
昔はその氏神様に対して個人の願いではなく、集落全体のお願いごとをするのが当たり前でした。
村全体の願いというのは、例えば豊作祈願や災害を避ける願いなどです。
氏神様へのお供えは祈願の際に村全体の行事として行われていて、
神社へ個人でお参りするという風習がなかった当時は、賽銭自体必要性がなく、境内に賽銭箱は設置されていなかったのです。
ヌサ
ところがその後、地域の神様ではなく、普段お目にかかれない遠方の神様、見知らぬ神様のそばを通る時など、そのまま素通りしては失礼ということで、
遠方の神様に立ち寄った際は何かお供えするという風習が出来上がります。
その時にお供えされたのは「ヌサ」という供物で、美しい布帛(織物)などを手向けるようになります。
そして神社への個人参拝が徐々に広まり、「賽銭」というお金を投げ入れるシステムが完成します。それが賽銭の始まりということです。
共同祈願から個人祈願へ
ムラ全体の共同祈願から個人の祈願へ。その象徴が賽銭箱だったのです。
個人の願いを神様に聞き入れていただく対価のようなお賽銭。このお賽銭があるから気兼ねなくお願いごとが出来ると言っても過言ではありませんよね。
個人で気軽に神社へお参りできるこの時代に感謝です。