「塔婆」とはお墓の後ろに立てる細長い板のことで

ご先祖さまや亡くなられた方の供養のために立てます。

 

正式には「そとうば」といい、

漢字で書くと「卒塔婆」で、

 

略して「塔婆(とうば)」といったり、

 

木の板でできていることから、

「板塔婆(いたとうば)」とよばれたりもします。

 

お墓参りなどの際に板塔婆を目にされたことのある方も多いのではないでしょうか。

 

いつ立てるの?

板塔婆をお墓に立てることを、

「卒塔婆供養」(そとうばくよう)と言います。

 

卒塔婆供養のタイミングに決まりはなく、

また、お墓があるからといって必ず立てなければならないものではないので、

卒塔婆をいつ立てるかは、基本的に各家の自由です。

(お寺によって決められていることもあります)

 

ですが、一般的に卒塔婆がよく立てられるタイミングがありますのでご紹介します。

 

  • 法事…亡き人の49日忌や一周忌法要、納骨式など、またお墓の開眼式などに合わせて立てます
  • 祥月命日(しょうつきめいにち…1年に1度の命日)
  • お盆
  • お彼岸(春・秋の年に2回)
  • お施餓鬼(おせがき…お寺の行事)

などです。

 

どこに申し込むの?

卒塔婆はお墓を管理しているお寺や霊園などに申し込みます。

 

ご遠方などの事情でお墓参りができない場合は、

事前に頼むと立ててもらえます。

 

 

板塔婆の表面にはお寺さんによって、

梵字やお経文、亡くなられた方の戒名などが書かれますが、

 

書き方は宗派によって異なるので、

霊園に申し込む場合は家の宗派を伝えるようにします。

(浄土真宗は塔婆供養はありません)

 

それと、卒塔婆はなるべく立てる10日前までには申し込むようにします。

 

墨字が完全に乾くのに1週間程度がかかるためです。

 

雨で字が流されてしまうことを防ぐためにも早めに申し込みましょう。

 

何本立てればいい?

一本でも複数立てても構いません。

 

たとえば、

施主(お墓所有者)である「山田一郎」が、山田家の先祖のために春のお彼岸塔婆を立てるなら、

本数は「1本」です。

 

 

施主山田一郎が、亡き両親(父・太郎、母・花子)のために春のお彼岸塔婆立てるなら、

 

父・太郎用に1本と、

母・花子用に1本で、

合わせて「2本」になります。

 

 

父・太郎の1周忌法要で、
施主の一郎とその弟の山田二郎が塔婆を立てる場合は、


それぞれの名前(山田一郎と山田二郎)で1本ずつ、

計「2本」を申し込みます。

 

卒塔婆は夫婦連名や「~一同」で申し込みができる場合もあります。(例:兄弟一同 孫一同など)

 

法事などで親戚の方などが塔婆供養を希望される場合は、

施主は前もって人数をまとめ、

その方たちの氏名をお寺などに連絡するようにします。

 

お値段はいくら?

卒塔婆の値段は地域や塔婆のサイズによって異なりますが、

 

法事などの法要に合わせて立てる場合、
1本2,000円~3000円程度が相場のようです。

 

それ以外の、

たとえば命日などに卒塔婆のみを手配する場合は、

お寺さんへのご回向料(ごえこうりょう)も含まれるため、

 

1本3,000円~10,000円とすこし高くなるようです。

 

相場は都市部の方が高い傾向にあります。

 

卒塔婆はお布施のようにお気持ちの額ではなく、

「卒塔婆料」として1本の値段が決められていることが多いので、

ご希望の方は事前に確認してみられるとよいでしょう。

 

卒塔婆代の表書きは?

卒塔婆代の表書きは「卒塔婆代」か「卒塔婆料」、

または「御塔婆代」です。

 

お寺さんへなら「お布施」とすることもあります。

 

その下に○○家または施主の氏名を書きます。

 

塔婆を複数本依頼された場合は、

合計金額をまとめて一つの封筒にあらかじめ入れ、

当日お寺などへお支払いします。

 

封筒は白無地の封筒か不祝儀袋でいいと思います。

他の申込者の卒塔婆代は後から別にそれぞれ受け取るようにします。

 

なぜ「卒塔婆」というの?

それにしても「卒塔婆」なんて、少し変わった漢字の組み合わせですね。

 

「卒塔婆」の由来はインドにあります。

 

卒塔婆は仏教のアイテムですが、

その仏教はインドで始まったことをご存知でしょうか。

 

 

今から約2500年ほど前にお釈迦様によって始まりました。

 

 

卒塔婆は、古代インドのことば「サンスクリット語」の「ストゥーパ」という言葉が語源で、

お釈迦様の遺骨を納めた塔をあらわします。

 

 

インドには、日本のようにお墓をつくる習慣はありません。

現在でも遺体を火葬したあと、のこった遺骨(灰)をガンジス川に流します。


川への「散骨」が行われるわけです。

 

 

しかし、お釈迦様は特別な存在だったため

ご火葬後の遺骨を川に流さず、お墓として残すことになりました。

 

当初お釈迦様のお墓は、

お椀をふせたような形の盛り土だったようですが、

 

しだいに「石造りの塔」に作り変えられていきます。

 

そして、お釈迦様の遺徳を崇拝するため

インド各地に分骨されることになります。

 

 

ちなみに日本では遺骨を分骨をしたりしますが、

このようにお釈迦様の遺骨も分骨されていることから、

 

「節度をもって行えば分骨は悪いことではない」

 

というのが分骨に対する日本仏教の見解のようです。

 

 

その後「ストゥーパ」はシルクロードを通って中国へ伝わると、

「ストゥーパ」に「卒塔婆」が音写されます。

 

ストゥーパの発音に近い「卒塔婆」という漢字が当てはめられたのです。

 

ストゥーパには台が付き、

暑さや雨風をしのぐ意味から屋根がつけられ、


五輪を石などでかたどって積み上げた「五輪塔」へと発展していきます。

 

 

それが日本に伝わると、

五重塔など高さのあるうつくしい建築物へと変化していきます。

 

法隆寺の五重塔は有名ですね。

 

 

 

そして各家庭の追善供養のために作られたのが「板塔婆」です。

 

 

 

板塔婆の上のあたりのギザギザした部分は

「五輪塔」がかたどられていて、

 

「空風火水地」という

宇宙の五大要素によって人間が生かされていることがあらわされています。

 

 

 

卒塔婆の由来からも分かるように、

板塔婆を一本お墓へ立てるということは、

「仏像」を一体お上げするのと同じくらいのありがたみがあるといわれます。

 

 

お寺さんによって魂が入れられた卒塔婆を供養できれば、

きっとご先祖さまにも喜んでいただけそうですね。

 

 

※卒塔婆の申し込み方法はお寺などによってに異なるため、詳しくはお寺や墓地管理事務所までお問い合わせ下さい。